便潜血検査の意味、陽性が出たら？

・便潜血検査とは

下部消化管（小腸・大腸など）のどこかから出血すると、便の中に血液が混入します。出血が多ければ、肉眼的に見ても血便（赤色便のほか暗黒色便やタール便）とわかりますが、出血が少量の場合は、肉眼的にはわかりません。便潜血検査とは、便の中に血液が混じっているかどうか【下部消化管（主に大腸）出血の有無】を調べる検査です。

 

・便潜血検査で陽性となる病気は？

下部消化管の潰瘍、ポリープ、がん、炎症性腸炎、痔などいずれにおいても検査で陽性所見が出る可能性があります。

基本的には２検体を提出いただきますが、検体の出欠の混入量や陽性の回数（２回ともに陽性、１回だけ陽性）では、疾患の推定は残念ながらできません。

あくまで上記疾患のいずれかを中心に下部消化管領域で何かの原因で出血しているということを指し示す検査ですので、陽性と判断された場合は原因精査のためにもれなく大腸カメラを受けていただく事が必要となります。

 

・よくある質問

痔があって、そこから出血している。だから「便潜血陽性」の結果は痔のせいなので、精密検査は受けなくてもよいのでは･･･
→ 確かに痔からの出血で「便潜血陽性」となります。しかし他の病気が存在していることを否定できるわけではありません。肛門と大腸を併せて見る必要があるので、きちんと精密検査を受けることが必要です。

 

便潜血検査で結果が陽性だった。今は仕事も忙しいし、来年も陽性だったら精密検査を受けようと思う。
→ 便潜血が陽性となる原因には、様々な病気が考えられます。放置したことで悪化する可能性もありますので、精密検査を受けるべきです。

 

最近受けた大腸内視鏡検査で異常なしだったが、その後の便潜血検査でがんの疑いあり（要精密検査）となった場合

→人によっては大腸に病変がなくても繰り返し便潜血検査が陽性になることがあります。直近の大腸内視鏡検査で異常がなく、その後の便潜血検査で陽性だった場合に、再度精密検査（大腸内視鏡検査）を受ける必要があるかについてはまだ国として方針が決まっていません。精密検査を受診するか迷っている場合は、前回大腸内視鏡検査を受けた際の担当医とご相談ください。

 

２回検査で１度しか陽性反応が出なかった。癌だと２回とも陽性になるのでは・・

→大腸がんは毎日出血しているわけではありませんので、1日分でも便潜血検査陽性となったら精密検査を受ける必要があります。なお、便潜血検査をもう一度受けることは精密検査の代わりになりません。

大腸がんがあっても症状が出ないことはよくあります。「次回の検診まで待とう」、「症状がないから大丈夫」などと自己判断はしないようにしましょう。もともと痔がある場合でも、痔が原因で出血しているのか、あるいは大腸がんやポリープのために出血しているのかは精密検査をしないと分かりません。自己判断をせずに、必ず精密検査を受けることが勧められています。

 

内視鏡検査以外でも大腸を検査する方法はないのか・・

→内視鏡検査以外でも、胃同様肛門からバリウムを注入しX線で判定する造影検査や大腸CT検査なども検査法としては挙げられています。

しかしながら、いずれの検査におきましても必ず腸内の便の洗浄は必要となりますので下剤は服用していただく必要はあります。

加えて、それらの検査で何らかの異常が指摘された場合は二次検査として内視鏡検査を受けていただく流れとなりますので、一期的に検査を行う意味でも内視鏡検査が最も適していると考えられます。

 

検査の苦痛や前処置の手間など、何かと敬遠されがちな検査ではありますが、当院では前処置薬や検査時の麻酔導入など極力苦痛を最小限に検査を受けていただけるよう配慮しておりますので、是非積極的に大腸カメラを受けていただくようお勧めさせていただきます。

ご不明点等あれば、是非一度気軽にご相談に来てください。