便秘は体質ではなく病気です①
2025/07/16
便秘は消化器内科領域でも、特に頻度の高い疾患の一つです。
日常生活においても普段から自分は便秘気味だなぁと思われている方も多いと思います。
しかしながら、実際便秘に対して積極的に治療や医学的にアプローチしている方は決して多くなく、体質的に『自分は便秘体質だから』と割り切って過ごされている方が多いのではないでしょうか?
実は便秘は疾患としてきっちり定義されています。
今回は便秘のことを少し掘り下げてみようと思います。
・便秘の定義
2017年に慢性便秘症診療ガイドラインが刊行された後に、2023年に便通異常症診療ガイドラインとしてアップデートされています。
その中で、便秘とは「本来排泄すべき糞便が大腸内に滞ることによる兎糞状便・硬便、排便回数の減少や、糞便を快適に排泄できないことによる過度な怒責、 残便感、直腸肛門の閉塞感、排便困難感を認める状態」と定義されています。
さらには、慢性便秘症を排便回数減少型(学術的な病態分類では、大腸通過正常型および大腸通過遅延型)と排便困難型(学術的な病態分類では便排出障害型)に分類されるようになっています。
簡潔に言うと、『気持ちよく排便できていなければ全て便秘と言える』ということになります。
・便秘の診断基準は?
ガイドラインでは、「排便中核症状(便形状、排便回数)および排便周辺症状(怒責、残便感、直腸肛門の閉塞感・困難感、 用手的介助)を加味し、ガイドライン 2017に準じ て診断する」とあります。毎日排便がなくても、週に3 回以上排便があり、兎糞状便ま たは硬便でなく、残便感や排便困難感もなければ、診断基準上、便秘症ではない。一方、毎日排便があっても、兎糞状便または硬便で、残便感や排便困難感を自覚する場合は、診断基準上、便秘症となる。
上記の状態を加味すると、結局診断基準としては『本人の自覚で排便に対し困っているか否か』ということになります。
困っていれば、毎日排便があろうが便秘、困っていなければ毎日排便なくても便秘とは言わない。というわけです。
【慢性便秘症の診断基準(Rome IV診断基準より翻訳作成)】
1. 「便秘症」の診断基準 以下の6項目のうち,2項目以上を満たす。
・排便中核症状(Defecation core symptom)
C1(便形状):排便の4分の1超の頻度で,兎糞状便または硬便 (BSFSでタイプ1か2) である。
C2(排便頻度): 自発的な排便回数が,週に3回未満である。
・排便周辺症状(Defecation peripheral symptom)
P1(怒責):排便の4分の1超の頻度で,強くいきむ必要がある。
P2(残便感):排便の4分の1超の頻度で,残便感を感じる。
P3 (直腸肛門の閉塞感・困難感): 排便の4分の1超の頻度で,直腸肛門の閉塞感や 排便困難感がある。
P4(用手的介助):排便の4分の1超の頻度で,用手的な排便介助が必要である (摘便・会陰部圧迫など)。
2. 「慢性便秘症」の診断基準
6ヵ月以上前から症状があり,最近3ヵ月間は上記の基準を満たしていること。ただし,「日常診療」においては,患者を診察する医師の判断に委ねる。
慢性便秘症の診断基準(便通異常症診療ガイドライン 2023- 慢性便秘症 2)から改変転載
どうでしょうか?当てはまる項目はありませんか?
一度ご自分は便秘かどうか確かめてみてくださいね。
治療に関しては次回解説させていただきます。
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