ブルーレイク消化器内科クリニック

GLP-1ダイエットについて(私見)

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GLP-1ダイエットについて(私見)

GLP-1ダイエットについて(私見)

2025/10/29

今回は、当院の注力しているジャンルの一つでもあるGLP-1ダイエット(医療痩身)について少し私見を述べてみたいと思います。

以前よりメディアなどでも取り上げられている内容で多くは批判的な内容もあり、現在GLP-1使用中の方、これから使用を検討している方にも不安を与えるような内容も中には見受けられます。

 

様々なご意見があるでしょうが、今回実際当院で行っている内容と使用実績を踏まえた上で意見させて頂ければと思います。

 

まず、結論から申し上げますと

・GLP-1は適切に使用すれば減量に対して非常に有効的な方法である

と考えています。

 

その中で適切にという部分ではありますが、ではGLP-1がなぜにこうも問題視されるのか?

その部分を考察してみようと思います。

 

GLP-1ダイエットとは、「痩せホルモン」といわれるGLP-1と同じ作用を起こす薬を使用するダイエット方法です。食欲を抑えて満腹感を持続させる効果があるため、つらい我慢をせずに自然に食事量を減らせます。興味のある方は、事前に調べていただいているでしょうが、本来日本国内で認可されているGLP-1製剤は保険診療として糖尿病の治療薬として使用されています。その上で、GLP-1の薬効としましては『薬を使用することで、食べ物の消化を緩やかにして満腹感を持続させる効果がある』薬剤です。

そのため、胃腸障害を引き起こすリスクもあります。主な症状としては、吐き気、胃もたれ感、腹部膨満感、便秘・下痢などの便通障害、嘔気・嘔吐などです。これらの症状はGLP-1ダイエットの治療開始直後に現れやすいのですが、多くの方は継続して使用するうちに治まっていきます。

また、その他のリスクとして低血糖もよく言われることがありますが、GLP-1ダイエットで使用するGLP-1受容体作動薬は、血糖値が低い状態の場合は作用しないため、一般的に低血糖のリスクは低いとされています。ただし、糖質制限ダイエットや他の糖尿病治療薬を併用すると、低血糖を引き起こす可能性があるため注意が必要です。低血糖になると、倦怠感や脱力感、めまい、吐き気、手足の震え、冷や汗、動悸などの症状が現れます。

その他に、急性膵炎という病気のリスクを上げるともいわれていますが、2025年に発表されたアメリカの大規模研究では、過去に膵炎を起こしたことのある2型糖尿病や肥満の患者を対象に、GLP-1製剤を使用した場合の「膵炎再発リスク」が検討されました。

結果は意外にも、

  • ・GLP-1製剤を使用していた人たちは、していない人たちよりも 膵炎の再発率が低い

  • ・膵炎になった後の 重症化リスクや死亡率も低い

というものでした。(下記論文から抜粋)

  1. Dewi YP et al. “Association of GLP-1 Receptor Agonists With Recurrent Acute Pancreatitis and Clinical Outcomes: A Multicenter Cohort Study.” The American Journal of Gastroenterology. 2025 May;120(5):654–663.
     → 全米127万人の医療データを用いた大規模研究。GLP-1RA群で膵炎再発・重症化リスクが有意に低下。

  2. ENDO 2024(Endocrine Society Annual Meeting), Abstract #345-P
     → 膵炎既往のある糖尿病患者におけるGLP-1RAの予後改善効果についての国際学会発表。

  3. American Diabetes Association (ADA) 2024 Consensus Report
     → GLP-1RAの安全性に関する見解で「膵炎との関連は再検討が必要」と明記。

 

 

では、何故にメディアに取り上げられる程、一部で危険視されているのか?

答えとしては『適切な使用をしていない/ダイエットの認識がそもそも間違っているから』と考えます。

もう少し分かりやすく説明すると、『不必要に体重を落としたがる』ことが問題と考えます。

 

では、不必要なダイエットとはどういうことを指すのか?

例えば、過度な糖質制限や筋トレ、短距離走などの無酸素運動をGLP-1ダイエットと組み合わせると、先述した血糖値の急激な低下によってめまいや意識障害を引き起こす危険性があります。そのため、GLP-1ダイエット中は栄養バランスの取れた食生活を心がけることが大切です。食べないことで見かけの体重の数値を落とすことは一番意味のない方法です。

また、運動をする場合は無酸素運動ではなく、ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動がおすすめです。適度な有酸素運動には、ダイエット効果を高めてリバウンドしにくくなるメリットがあります。

いくら食欲を抑制するからと言って、全く食事を摂らずに体重を落とすことだけに固執する方が一定数いらっしゃる・・・これが問題なわけです。

 

ちなみに適正体重はどれくらいかご存じでしょうか?

日本肥満学会では、BMIが22を適正体重(標準体重)とし、統計的に最も病気になりにくい体重とされています。25以上を肥満、18.5未満を低体重と分類しています。 

  • ※BMI = 体重kg ÷ (身長m)2

つまり、身長160㎝の方の適正体重はBMI22で計算したら『約56㎏』となります。

体調面で考えるとそれ以上体重を落とす必要がないわけです。

一方で減量を望まれる方は一部それ以上に体重を落とすことを希望される方がいます。中にはBMI18以下(160㎝ 46㎏!!)まで落とすことを考える方もいるのが現状です。

そういう認識の相違が不必要なダイエットだと考えています。

 

また、よくあるご要望として『○○か月以内に○○㎏落としたい』といったようなご希望も聞くことがあります。

では、減量するスピードとして適正なスピードをご存ぞでしょうか?

1ヶ月のダイエットで健康的に減量できる目安は、現在の体重の0.5%から5%までとされています。例えば、体重60kgの方であれば、1ヶ月に0.3kgから3kg程度の減量が適切です。それ以上のスピードで体重を落とすことはダイエットではなく体に害を与えることに繋がります。

 

ここまで読んでいただいて、不必要なダイエットがどういうことかは理解していただけましたでしょうか?

 

そのうえで、GLP-1ダイエットが危険視される要因として問題になっている根幹が『ダイエットの必要のない方が、医師の対面診察なくオンライン診療など手軽に入手できる環境下で使用をやめないこと/そもそも減量するスピードや目標値の設定が根本的に間違っていること』、これが一番の原因と思っています。

 

当院では、そういう事象を防ぐため1か月に1回必ず対面での診察及び体重の変動の確認、各種有害事象への対応を徹底しています。また、ダイエットはあくまで適正体重を保つことで健康を維持することを目的としており、体の見栄えを重視して考えるものでもないので、適正体重以下に減量することを希望される方は処方をお断りさせていただくこともあります。

 

減量に悩まれている方に確実により安全に問題を解決できるように日々努めておりますので、是非一度ご相談いただけますと幸いです。

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守山市で健康的なダイエット

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